【事例】付郵便送達の現地調査(休眠抵当権の抹消案件)

ここでは、当事務所で取り扱った付郵便送達の現地調査の事例を紹介致します。

本件は、当事務所自体が原告代理人となって行った事案です。

6月某日 事件受任

そもそもの始まりは土地の相続登記の依頼でした。土地の所有者が亡くなって、その配偶者へ名義変更するため登記簿を取得したところ、なんと明治30年に設定された抵当権が、抹消されずに残ったままであることが分かりました。抵当権者は会社ではなく個人名でした。

相続登記自体はすぐに終わったのですが、この抵当権が残ったままとなってしまい、依頼者と何度も協議を重ねた結果、きちんとした手続を踏んで抵当権の抹消を目指すことになりました。

9月某日 相続人全員を相手に訴訟提起

明治時代に設定された抵当権ですので、抵当権者はすでに生存していないことは明白です。その為、まずは抵当権者の戸籍を追って相続人を確定させることから始まりました。戸籍はかなりの分量に上り、最終的に12名の相続人がいることが分かりました。

抵当権を抹消するには、この全員から抵当権抹消に関する書類に押印頂くか、全員を被告として勝訴判決を取得するかのどちらかです。

依頼者の意見としては、会ったこともない人達全員と話をして事情を理解してもらった上で押印をもらうことは不可能だということでしたので、当職が原告代理人となり監視裁判所へ訴訟提起をすることとなりました。

10月初旬 裁判所から送達不奏功連絡あり

裁判所より、上記12名のうち1件について送達ができなかったという連絡がありました。いずれも戸籍の附票から判明した住所宛であり、また当然のことながら居所や就業場所はわかりません。

そのため、現地調査を行うこととなりました。

なお、調査対象地は山梨県甲府市。これは1日がかりになることを覚悟しました。

10月14日 山梨県甲府市の現地調査

五反田の事務所から、電車で山梨県甲府市まで移動で約2時間、目的地の駅に着きました。そこから調査対象地まで歩くこと約30分ほどで、対象地の住所地近辺に到着したものの、対象者の名前が書いてある表札がついている家はありませんでした。

近隣には、住所の表示プレートがあまりついてなく、正確な号もわからないので、これでは家を特定できません。

近隣宅の聞き込み

そこで対象地近辺の、とある一戸建て宅(対象者とは別の表札だった)を訪ねてみることにしました。

呼び鈴を押して出てこられたのは親切な方でご婦人で、「この辺りに○○さんのお宅はありますか?」と聞いてみたところ、「その家を横切っている狭い路地を通過した奥の一軒家に居住していますよ」と教えてくれました。

これで、対象者の自宅が判明しました。

次に、こちらが何度か電話してもいつも留守電になってしまうことを伝えて(あらかじめNTTの電話番号照会をかけたところ、電話番号は判明していた)、日中は留守であることが多いのか尋ねたところ、「いついるのかはわからないけど、今は駐車場に本人の車がないから出かけていると思う」との回答がありました。

自宅を訪問するも、不在

近隣宅の聞き込みで対象のお宅が判明したので、早速訪問をしました。

早速呼び鈴を何度か押しましたが、聞き込みのとおり外出しているようで反応はありませんでした。

表札は見当たらなかったものの、自宅の周辺はきれいに整備されていて、傘立てには何本か傘があり、頻繁に使っている様相の掃除用具もありました。

また郵便受けには、おそらくその日の朝刊であろう新聞が投函されていました。

この状況を見る限り、誰かが居住しているということは間違いないと判断し、調査を終了しました。

10月末頃 付郵便送達実施

上記のとおり調査をして、調査報告書を裁判所に提出しました。

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上記の内容のとおり、付郵便送達の上申書と現地調査報告書、また現地の写真画像を裁判所に提出したところ、無事本件については付郵便送達が認められ、訴訟を進行することが出来ました。